イェール式は発音ではなく綴りを移す
ローマ字表記法の三つのうち、イェール式だけ性格が違います。国語のローマ字表記法とマッキューン=ライシャワー式は音を書きますが、イェール式は書かれた文字をそのまま移します。そのため 신라 は Silla ではなく sinla、없다 は eopda ではなく epsta になります。二重パッチム ㅄ が ps のまま残るのがイェール式の特徴です。
言語学で使う表記である
語幹と語尾が出会って音が変わる現象を説明するとき、音を書いた表記では元の形が消えてしまいます。イェール式は形を保つので、「epsta の ps が発音で p に縮む」 のように説明できます。そのため韓国語言語学の論文や教材で広く使われます。逆に地名の標識・パスポートの名前・観光案内には使いません — その場では国語のローマ字表記法を使います。
wu と u を分ける規則
イェール式は ㅡ を u、ㅜ を wu と書きます。ただし唇音(ㅁ・ㅂ・ㅃ・ㅍ)のあとには ㅡ が現れないため、そこでは ㅜ をそのまま u と書きます。そのため 부산 は pusan、대구 は taykwu になります。また綴りに現れない濃音の位置に q を入れる表記(할 수 → halq su)がありますが、ハングルだけではその位置が分からないのでこのツールは q を入れません。分かち書きと大文字にも手を加えません。
根拠と基準時点
Samuel E. Martin らが整理した イェール式ローマ字表記(Yale romanization of Korean) の字母対照と、唇音のあとの ㅜ の規定を根拠にしています。比較対象の現行表記法は文化体育観光部告示 「国語のローマ字表記法」(2000年)です。2026年10月基準です。
よくある質問
韓国語言語学の論文や教材で使います。発音ではなく綴り(形態音素)をそのまま移すため、語幹と語尾が結び付くときにどう変わるかを説明するのに便利です。地名やパスポートの名前に使う表記ではありません。
イェール式は発音変化を適用せず綴りをそのまま移すからです。改定表記法は発音 [실라] を書いて Silla となりますが、イェール式は書かれたとおり sin + la を移して sinla になります。これが二つの体系の最大の違いです。
ㅜ はふつう wu と書きますが、唇音(ㅁ・ㅂ・ㅃ・ㅍ)のあとでは ㅡ と紛れないため u と書きます。そのため 부 は pu、구 は kwu になります。무 が mu、주 が cwu になるのも同じ理由です。